抄録
沖縄県のサンゴ礁生態系に負荷を与えている赤土等の流出を防止するためには,現行の取組に加えて農家が行う営農対策をリソース面から支援していくことが喫緊の課題である.そこで本稿は,農家の生産向上につながる土壌保全(赤土等流出防止)と収益増を両立させることをインセンティブとした環境保全型農業を推進し,生産される農産品を適切な価格で販売して,消費者から協力金を集め,対策に還元していく「地域協力型環境保全営農支援制度」を構想し,モデル地域での試行と消費者の意向調査を行った.その結果,地域協力型環境保全営農支援制度のスキームはモデル地域において存立し,稼動することが確認されるとともに,消費者に一定の支持を得て購入されることが明らかとなった.