抄録
現在,家庭系一般廃棄物の48%を占める生ごみは,含水率が高く臭気や扱いにくさから来る住民の協力度の問題,再資源化した二次製品の需要確保の問題のため,特に都市部では再資源化が進んでいない.本研究では,生ごみ発酵分解装置を都市部の集合住宅に設置することにより,集合住宅内から排出された生ごみを処理・再資源化する社会実験を実施し,そのライフサイクルの温室効果ガス(GHG)削減効果を推計した.また,その特定の集合住宅の基礎データに基いて,北九州市をモデル都市として,市内の集合住宅全体から排出された可燃ごみ処理時の温室効果ガスの回収・処理システムについてLCA手法を用いて評価した.その際,北九州市の全域の居住形態の可燃ごみ処理システムの現状と比較することにより,資源化システムの優位性を評価した.その結果,北九州市内の集合住宅全体に生ごみ発酵分解装置を導入すると,温室効果ガスの排出量を2.73t-CO2/月削減できる可能性があることを明らかにした.