2012 年 68 巻 6 号 p. II_25-II_31
河川にダムや堰等の構造物が設置されると,魚の遡上が困難になる.そのため,水位落差を分割あるいは滑らかに接続し,魚類の遡上および降下を可能にする魚道の設置が必要となる.和田は,プール水深を3通りに変化させてアユの遡上実験行い,水深の減少に伴い,遡上率が高くなることを解明した.しかしながら,流量変化の影響を考慮していない上に,遡上の原因についても言及していない.本研究では,プール水深及び流量を系統的に変化させ,アユの遡上実験を行なった.その結果,プール水深の減少に伴い遡上率が高くなるが,流量が少ない時および多い時に遡上が困難になることが判明した.また,魚が上流側方向を向いて定位している場合,遡上率が高くなることが判明した.