抄録
農畜産業における排出削減対策は,世界排出量半減に向け,とりわけ第一次産業を国内産業の主産業とする途上国における排出緩和において重要な役割を果たすと考えられる.本論文では,農畜産業における温室効果ガスの排出削減評価モデルを開発し,国・地域レベルで農畜産業部門におけるGHG排出緩和のための具体案の検討への適用を提案する.低炭素社会の実現に向け,どのように排出緩和シナリオをデザインするのか,また,削減対策の導入計画をどのように描いたらよいのかについて論じる.さらに,この手法をマレーシアへ適用し,2030年において対策を導入した場合,どの対策により,いくらの費用で,どれだけの排出が削減可能かについて示す.