抄録
青森・岩手県境不法投棄事案は県境をまたいでおり, 各々対策を進めたことで, 県境部において1,4-ジオキサンによる汚染地下水の岩手県から青森県への流出問題が存在する. しかし,対策検討当初から,両県の地下水の実態に対する認識が異なるため,共通認識に基づく恒久的な地下水汚染浄化対策は検討されてこなかった.そこで本研究では, 3次元モデルによる数値シミュレーションを行い, 現状の岩手県から青森県へ流出する地下水量とそれに伴う1,4-ジオキサンの拡散状況, また現在考慮されている修復対策を進めることによる地下水流れの変化とそれに伴う汚染拡散予測を示した. これにより,県境部の汚染地下水に対して両県共同で恒久対策を検討する必要性を示した.