抄録
発展途上国における今後の紙・板紙の消費増大を抑制し低消費型の発展経路を検討するために,先進33カ国を対象としたクラスター分析および判別分析を行い,低消費経路国と高消費経路国の違いを決定する社会経済因子を分析した.その結果,教育水準,経済水準,都市化は,紙・板紙の消費に影響する社会経済因子であるが,新聞用紙,印刷・情報用紙,衛生用紙,段ボールの用途間で消費抑制効果にトレードオフが生じることが明らかになった.新聞用紙,衛生用紙,段ボールは,高価格になることによりそれらの消費抑制に効果があった.第三次産業拡大の抑制は,印刷・情報用紙と衛生用紙の消費抑制に効果があるが,農業の活性化によって食料生産が増加すると段ボールの消費を誘発する可能性があることが分かった.