抄録
本研究では,タリアメント川(イタリア)中流の洪水氾濫原を対象に,生息場とその生息場条件と水中堆積物の質的および量的特性の関係を明らかにし,さらに,水中堆積物に付着する微生物に着目して呼吸活性と堆積物特性との関係を明らかにすることを目的とした.洪水氾濫原における調査の結果,本流と上流で接続のある生息場では河床堆積物の粒径が大きくC/N比は高くなり,樹木の多い生息場では微細堆積物密度と微細有機物の含有率が高くなるという特徴が明らかとなった.また,微細堆積物量と微細有機物の含有率は溶存酸素消費係数と強い正の相関性が確認され,水中での溶存酸素消費濃度は生息場のタイプや堆積物の質や量により大きく影響を受けることが示された.