2012 年 68 巻 7 号 p. III_193-III_203
礫間浄化施設,木炭浄化施設,人工水路を用いて淀川水系中流域の都市排水汚染から下流域の水道水源を守るために開始された淀川流水保全水路事業の有効性を評価することを目的として,淀川流水保全水路と桂川における医薬品類53物質の減衰を現地調査によって把握し,淀川流水保全水路の供用拡大時も含めて両者の結果を比較した.その結果,淀川流水保全水路における医薬品類の浄化機能は,現状では河川と同程度,供用拡大時においては河川を下回ると推定され,これには,河川流下過程における太陽光による光分解や底質への吸着が関与していることが示唆された.