抄録
現在、国内では多種多様な化学物質が人間活動によって消費・廃棄され環境中に排出されており,公共水域等でも検出されて環境水中での多様な化学物質による複合的な毒性影響が懸念される.そこで本研究では2011年10月~2012年4月の間に、全国の環境基準点28か所で採水を行ない,米国等で排水や環境水の評価・管理に用いられているWET(Whole Effluent Toxicity)の手法のうち、魚類、甲殻類、藻類の3種を用いた短期慢性毒性試験を適用し、河川水の毒性影響を評価、毒性の傾向と分布を調べた.その結果,藻類では4河川で生長阻害が確認された.ニセネコゼミジンコでは8河川で致死または産仔数の減少が確認された.ゼブラフィッシュでは3河川で孵化率の減少または致死率の増加が確認された.