土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境工学研究論文集 第49巻
タイ・バンコク 7箇所の都市下水処理場における有機フッ素化合物類(PFCs)の汚染実態
Pattarawan CHULARUEANGAKSORNShuhei TANAKAChinagarn KUNACHEVAShigeo FUJIIHidenori HARADASuwanna Kitpati BOONTANON
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 68 巻 7 号 p. III_341-III_349

詳細
抄録

 有機フッ素化合物類(PFCs)は難分解性,毒性, 生物濃縮性を持つ人工化学物質であり,都市下水処理場は水環境に対するPFCs負荷源として懸念される.本研究は, タイ・バンコクでの都市下水処理場において11種のPFCsの汚染実態を検討するものであり, 7箇所の都市下水処理場において, 主要な下水処理工程ごとに試料を採取した. なお、すべての下水処理場で標準活性汚泥法を用いていた. 調査の結果,Chong Nonsi下水処理場放流水で総濃度63.6 ng/Lの最大値を検出した.放流水中, ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)とペルフルオロオクタンカルボン酸(PFOA)は他のPFCsに比べて高濃度で検出され,それぞれ2.7-5.6 ng/L,2.2-7.4 ng/Lであった.放流水中PFCs濃度は流入水中濃度より高く,標準活性汚泥法による下水処理ではPFCsを除去できていないことが示唆された.長い炭素鎖のPFCsは短い炭素鎖のPFCsに比べて,懸濁態の比率が高かった.他の国と比較すると,処理場流出水におけるPFOS,PFOA濃度はデンマーク,台湾,シンガポールより低かったが,数種類のPFCsが検出され,都市下水処理場が環境中におけるPFCs負荷源のひとつであることが示唆された.

著者関連情報
© 2012 公益社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top