抄録
本研究では,下水処理場生物処理工程におけるペルフルオロオクタン酸(PFOA)の挙動の把握を主目的とし,処理場から採取後すぐの活性汚泥と馴養した活性汚泥を用いて,室内実験を行った.主な結果として,(1)PFOAを添加した合成下水の半回分式生物処理実験では,生物反応槽内のPFOAの懸濁態比と存在量が増加し,(2)実下水が処理槽に流入する実験系では,PFOAの総排出量が総投入量に比べ2.0倍となった.(3)8日間の活性汚泥上澄み液存在下における1H, 1H, 2H, 2H-Perfluoro-1-decanolの分解実験では,添加モル量に対して2.9%のPFOAが生成した.このことから,生物反応槽におけるPFOAの存在量増加には, 活性汚泥への吸着による循環と実下水中に存在する前駆体からのPFOAの生成が影響していることが示唆された.