2012 年 68 巻 7 号 p. III_429-III_434
本研究では近年普及の進んでいる性能評価型浄化槽に着目し,塩素消毒前の工程における大腸菌群の除去効果,および塩素消毒による除去効果を解析した.さらに大腸菌群の除去特性について他の水質項目の除去効果と比較しながら解析した.その結果,調査した浄化槽25基のうち24基で塩素消毒前の大腸菌群数が排水基準値である3,000cfu/mL以下を満たすことが確認された.また,塩素消毒によって全ての浄化槽において1,000cfu/mLを下回るものの,残留塩素濃度が2mg/L以上検出されても大腸菌群数が200cfu/mL以上検出される場合もあった.大腸菌群数はSSと正の相関が,硝化率と高い負の相関が認められ,SSおよび窒素を高度に除去できる浄化槽によって大腸菌群数を低下させることが可能であることがわかった.