抄録
愛知県で唯一かつ日本最古のアンチモン鉱山である津具鉱山跡地周辺において表層土壌を採取し,アンチモン溶出量,含有量,および全量濃度を測定することで,アンチモン汚染の程度と汚染範囲を評価した.その結果,アンチモンによる高濃度汚染地域は製錬工場跡地周辺に限定されており,民家の建つ地域や信玄坑付近の汚染度は高くないことがわかった.一方,地域で産出する鉱物や輝安鉱(Sb2S3)に不純物として含まれるヒ素と鉛が,アンチモン以上に高濃度に土壌を汚染していることがわかった.河川水に関しては,堰堤部において,アンチモンの指針値およびヒ素の基準値を超過する濃度が検出された.土壌中のアンチモンの存在形態については,これまでの汚染土壌調査と同様,3価よりも5価のアンチモンが支配的であることを示した.