環境毒性学会誌
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我々は何を守るべきか?: 生態リスク評価における根深い問題を問い続ける必要性
岩﨑 雄一
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2015 年 18 巻 2 号 p. 39-42

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抄録
化学物質の影響から生態系の“何を”守るべきなのか?分子生物学的手法を筆頭とする最近の技術発展と知見の増加によりエンドポイントとなりうる候補が増えてきている一方で,この重要な問いは生態リスク評価やそれに関わる研究において曖昧に扱われてきている。本稿では,守る対象を決める際の理想と現実について一例を紹介し, “何を理想的に守りたいのか(あるいは,何を研究したいか)”と“何を守るべきなのか(あるいは守ることができるのか)”のギャップを利害関係者やリスク管理・評価者(すなわち,行政や研究者など)が明示的に認識しておく必要があること,さらにはそれらに対する努力配分のバランスをうまくとる必要があることを指摘した。加えて,エンドポイントの設定にあたっては時空間的なスケールを考慮することの重要性についても議論した。「何を守るべきか」という問題に対する決定的な解は依然準備されておらず,これからも重要な問いとして根強く残ることが予想されるが,具体的なエンドポイント(あるいは保全目標)を設定し共有することは,化学物質管理以外の環境対策を統合的かつ合理的に推し進める上でも肝要となる。今後この“重要な問い”により直接的に切り込む研究や活発な議論が行われることを期待したい。
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