抄録
 日本において,OCPs(Organochlorine pesticides: 有機塩素系農薬)濃度が低い(高い)水域に生息するシジミをOCPs濃度が高い(低い)水域に移植・飼育し,シジミ中濃度の経時変化を測定した.濃度が上昇する系,減少する系において,シジミ中濃度変化が顕著に見られた物質について,平衡に達するまでに6日から10日程度要することが明らかとなり,シジミ中濃度は,この期間の水中濃度を反映していることが分かった.また,シジミの平衡後の濃度は,移植の影響を受けず,新たな環境での水中濃度を反映することが明らかとなった.さらに,日本と浮遊物質濃度が有意に異なる中国の珠江デルタにおいて同様の実験を行うことで,浮遊物質濃度が異なっていても,シジミを移植し,生息する水中対象物質濃度が増加することで,シジミ中濃度は増加することが明らかとなった.