抄録
本研究では,インドネシア,マレーシア,タイ,ベトナムを対象に,世界温室効果ガス排出量半減目標と整合した排出量削減を行う場合について,各国の必要削減量と目標を達成する場合のエネルギーシステムの変化を分析した.計算には応用一般均衡モデルを使い,削減目標の設定には一人当たり排出量一定化の概念を用いた.
結果から対象国が上記条件で削減を行うとすれば,2050年には排出量削減を行わない場合と比較して,約50%から90%の排出量削減が必要であることが分かった.特に必要削減割合が大きいのはマレーシアとタイであった.さらに目標達成に伴って,一次エネルギー供給のうち最低でも50%以上が再生可能エネルギーや原子力といった低炭素エネルギーとなる.特にインドネシアではそのシェアは70%近くに達することが分かった.