抄録
持続可能な社会形成への要請が高まる中,化石燃料からのCO2排出を抑制するバイオマスエネルギー利用はその必要性を益々増してきている.北海道下川町は,町内に豊富に存在する森林バイオマスを活用したエネルギー供給の取組みを行い,CO2排出量及び燃料経費削減に成功してきた.バイオマス利用に関しては,「再生産カを超えない利用」が持続可能性を担保するうえでは基本となる.本稿では,下川町を対象として森林の年成長量を推定し,年成長量から得られるエネルギー利用可能量を求め,森林が有するエネルギー自給ポテンシャルを明らかにした.この結果,森林の年成長量をベースにした理論上の利用可能量が,下川町の電力を除くエネルギー需要の80~131%になることがわかった.