2013 年 69 巻 7 号 p. III_195-III_204
気象シナリオ日は, リスク評価期間内に生じる様々な気象状況を1日単位の少数のシナリオに集約したものである. 本論では, 気象シナリオ日の気象観測データとトラジェクトリーパフモテルを用いて, 瞬間的に排出される大気汚染物質の長期平均濃度を簡易に求める方法を提案する. 東京電力福島第一原子力発電所の位置から汚染物質が瞬間的に排出されたと仮定して, 気象シナリオ日を用いて広範囲の季節別の長期平均濃度を計算した. 各季節3か月間の連続濃度計算を実施して算出した長期平均濃度と比較することにより, 本手法の有効性を検証した. 加えて, 福島県等が実施した空間線量モニタリング結果と比較することにより, 本手法の利用法について検討した.