土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境工学研究論文集 第50巻
トルエンガス処理に用いたDHSリアクター内の微生物群集構造解析
山口 剛士中村 将一郎幡本 将史田村 英輔谷川 大輔川上 周司加藤 薫長野 晃弘山口 隆司
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2013 年 69 巻 7 号 p. III_215-III_222

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抄録

 トルエンガスを生物学的に処理しているdown-flow hanging spongeリアクター内の微生物群集を16S rRNA遺伝子に基づくクローン解析により明らかにした. その結果, リアクターの全ての箇所においてトルエン分解菌として知られている一部のPseudomonas属に属する微生物が存在していた. 特に, トルエンガスが供給されているリアクター下部ではトルエン分解菌として考えられるP.putida F1の近縁種が全体の5%程度を占めていた. 定量Real-time PCR法によるトルエン分解に関与する機能遺伝子の定量の結果, tmoA遺伝子を標的としたプライマーセットでの抽出DNA当りのコピー数はケーシングの外で一番多く(1.2x105copies/ng-DNA), todC遺伝子を標的としたプライマーセットでの抽出DNA当りのコピー数はスポンジの内部で一番多かった(3.6x106copies/ng-DNA). また, tbmD遺伝子を標的としたプライマーセットでの抽出DNA当りのコピー数はスポンジの場所に依存せず一定量存在していた(平均6.7±10x106Copies/ng-DNA). これらの結果から, トルエンガスはスポンジの表面だけで分解されているのではなく, 内部まで浸透し分解されていた可能性が高いことが示唆された.

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© 2013 公益社団法人 土木学会
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