2013 年 69 巻 7 号 p. III_257-III_264
本研究では下水処理UASB後段のDHSリアクターにおける排水処理特性と保持汚泥の真核生物群集構造に与える季節変動の影響を調査した. その結果, 運転季節によって真核生物群集構造は異なっており, 流入水温による影響を受けていたと考えられた. また, CODCr濃度やNH4+濃度が高濃度の環境(DHS上部)では繊虫門のParamecium属やColpidium属, 低濃度の環境(DHS下部)では肉質虫亜門のArcella属やCentropyxis属が優占するなど, 水質に応じて優占する生物種が異なっていた. また汚泥中で優占する真核生物を単離し, 18S rRNA遺伝子の塩基配列による同定を試みた結果, 種レベルでの同定が可能であった. そのため汚泥から1個体ずつ単離することで真核生物の形態と種を正確に評価できる可能性が示唆された.