抄録
4種類の異なる触媒を用いて活性の異なるエアカソードを作成し, 微生物燃料電池の運転を行った. 電子生産微生物の生育過程においては活性の高いエアカソードを用いた系のほうがアノードにおける電子生産微生物の成長が早かったが, 微生物が十分に生育した後の発電能力は, どの触媒を用いた系でも約4.5A/m2でほぼ同じであった. 一方, アノードの微生物群集構造を調べた結果, もっとも性能の低いカソードを用いた1基のみ異なっていた. さらにこのアノードは, 電位-電流応答も他のリアクターのアノードと大きく異なっていた. 従って, カソードの性能はアノードにおける電子生産微生物の生育速度や群集構造に影響を与えたが, 微生物が十分に生育した後の発電能力には大きな影響を与えなかった.