抄録
pH上昇による悪影響が懸念される猪苗代湖の予防的対策検討のため, 安達太良山から湧出する硫酸酸性水の硫酸イオン濃度の将来動向を非線形回帰分析により推定した. 硫黄同位体比のデータ, 硫酸イオン濃度の季節変動状況より, 安達太良山の硫酸酸性水は主にSO2ガスの不均化反応, 硫黄鉱床過程の硫化水素ガスの酸化反応により生成されており, 液相の地下水の存在が硫酸酸性水生成に重要な役割を果たしていると考えられた. また, 安達太良山から湧出する硫酸酸性水の硫酸イオン濃度が低下したのは, 安達太良山内部の温度上昇により地下水が蒸発したためと考えられた. 硫酸イオン濃度の動向を代表する沼尻温泉源泉を対象として非線形回帰分析を行ったところ, 将来安達太良山内部の温度が低下すれば硫酸イオン濃度は再び増加する可能性があると考えられた.