2013 年 69 巻 7 号 p. III_565-III_570
宮城県の閉鎖性水域伊豆沼の底質形成機構を解明するために, 流動と底質有機炭素の関係および底質の脂肪酸組成を調べた. その結果, 平均流速と底質有機炭素含有率との間には関係性が見られなかったが, 流速超過確率と底質有機炭素含有率には負の関係性が認められた. また, 底質からは高等植物に由来する脂肪酸が多く検出された. さらに, 底質における高等植物由来の脂肪酸含有量と有機炭素含有率には有意な正の相関が認められ, 伊豆沼の有機汚濁は高等植物によって引き起こされていることが明らかとなった. 流動の制御や高等植物の刈り取り等が伊豆沼の有機汚濁の予防に有効であると考えられた.