日本口腔腫瘍学会誌
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症例報告
上顎歯肉癌に対する術後放射線治療により短期間で発症した放射線誘発と考えられた肉腫の1例
関口 (山田) 珠希鄭 漢忠大廣 洋一栗林 和代工藤 章裕足利 雄一
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2020 年 32 巻 4 号 p. 229-236

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抄録
今回われわれは,上顎歯肉扁平上皮癌術後に放射線照射を行い,短期間に発症した放射線誘発と考えられた肉腫の症例を経験したので報告する。症例は,55歳,男性。右側上顎歯肉腫瘍の精査目的に当科紹介受診となった。扁平上皮癌の診断で上顎部分切除術を施行したが,切除断端が近接していたため,術後放射線照射を行った。術後4年経過したところで,放射線部位の右頰部に疼痛が出現した。造影CT検査で右側上顎部に腫瘍の再発が疑われた。生検を行ったところ,未分化多形性肉腫の病理診断であり,一次がんとは組織型が異なっていた。種々の化学療法が行われたが,奏功せず,腫瘍は徐々に増大した。化学療法開始から約8か月後に永眠された。
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© 2020 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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