2013 年 69 巻 7 号 p. III_615-III_621
TS濃度約10%の高濃度鶏糞を用いて中温と高温のメタン発酵の連続実験を行い, そのメタン発酵性能およびアンモニア阻害の検討を行った. 中温発酵では生鶏糞を用いても安定したメタン発酵が継続した一方で, 高温発酵では脱アンモニア鶏糞のメタン発酵は順調に行われたが, 生鶏糞ではアンモニア阻害が生じた. ガス生成状況などから判断して, 中温発酵ではアンモニア性窒素(TAN)濃度が4000~5000mg/L, 高温発酵では4000mg/L以下で阻害を受け始めたと考えられるが, 急激な揮発性脂肪酸の蓄積はTAN濃度約10000mg/L(中温発酵)および約5000mg/L(高温発酵)で生じ, その阻害濃度は異なる結果となった. またTANの増加に伴い各有機物の分解率は低下する傾向を示したが, 特にタンパク質の分解は他の有機物に比べてアンモニア阻害に対して影響を受けやすいことが明らかとなった.