抄録
本論文はエネルギーサービス需要を低減する施策の価値を温室効果ガス排出削減費用の低減量で計測した.解析には世界応用一般均衡モデルを用い,エネルギーサービス需要低減がないケースとあるケースについて,気候緩和策を実施した時のGDP損失を比較し,エネルギーサービス需要低減の価値とした.その結果,以下の事が明らかになった.第一に,民生,交通,産業のエネルギーサービス需要を25%低減することは,450ppm,550ppm安定化に相当する気候緩和策を取る場合,2050年でGDPの1.0%,0.5%の価値があった.第二に,部門別では民生部門のエネルギーサービス需要低減効果が大きかった.これは民生部門の排出量が大きいこと,および家計消費支出がGDPに対して直接的な影響力を持つことが要因と考えられた.