抄録
本文は東京湾を対象として,河川から負荷される化学物質(ダイオキシン類)について,3つの式(溶存態,沈降速度を持つ小粒子及び大粒子吸着態)を組み立て,それぞれの間で吸着・脱着,無機化やスキャベンジングの作用を考慮して海水の濃度解析手法の展開を図った.
海底堆積層については,境界層(海水層と粒子層),生物擾乱層,拡散層の3層に分けて,海水中と海底境界層の物質のカップリングによる解析を実施した.
モデルにより海底堆積層の濃度分布を算出し,既往の現地観測結果との比較によりモデルの適応性を検討した.その結果,濃度解析による拡散分布は,公共用水域の観測値と類似した傾向を示した.
計算結果によるマスバランスは,流入負荷量の約80%が海底へ堆積し,湾外へ約16%流出した.このことから,東京湾におけるダイオキシン類は大半が海底に堆積していることが示唆された.