抄録
滋賀県ではこれまで微小粒子状物質PM2.5のデータの公表が進んでおらず、実態が把握されていない。本研究では滋賀県瀬田丘陵において、PM2.5の連続測定を行い、金属と無機イオンの成分分析ならびに空気塊の輸送解析を行った。瀬田丘陵の高濃度の主な原因の1つは黄砂であるといえる。黄砂観測日のPM2.5からは黄砂の元素成分であるAl、Ca、Fe、Mg、Siが検出された。無機イオン分析結果から、年間を通じてNO3-よりもSO42-が卓越していること、SO42-は主に微小粒子側に(NH4)2SO4の形で存在することがわかった。成分分析と流跡線解析の結果から、黄砂観測日以外の高濃度日には中国や韓国からの越境汚染や、国内都市部の人為起源や火山からのSO2の影響が見られた。