抄録
本研究では,滋賀県において魚のゆりかご水田プロジェクトが実施されている24地域を対象にした現地ヒアリング調査によって,各地域における同プロジェクトの活動の現状や課題などを把握した.また,同調査で得られた情報を基に,統計的に調査対象地を分類した結果,I型「大半が湖北と湖東に位置し,米の付加価値付けより収量の確保を優先し,栽培した米を主にJAに出荷している,活動がやや低調な地域」とII型「大半が湖西に位置し,米の収量より付加価値付けを優先し,栽培した米を独自の販路で販売している,活動が低調な地域」,III型「湖南と東近江に位置し,栽培した米を主にJAに出荷している,活動が活発な地域」の3グループに類型化できることがわかった.また,類型化の結果に基づき,同プロジェクトの実施水田面積を拡大するための方策を考察することができた.