抄録
本研究では,公共事業計画策定過程の議事録に対するテキストマイニングによって,同過程中における意見の協調・対立関係を把握するための分析手法の開発を試みた.開発した手法を淀川水系流域委員会の議事録に適用した結果,分析手法としての有効性を示すことができた.具体的には,同委員会において話し合われたメインテーマとダム建設に関するサブテーマへの言及の傾向によって委員を分類することで,発言の大きな対象とダム建設に対する態度とによって委員をそれぞれグルーピングすることができた.また,委員間の発言の応酬に着目した応答関係とサブテーマへの言及の傾向に基づく委員間の距離を組み合わせたネットワークグラフを描くことで,ダム建設に関する近畿地方整備局と委員の間,また委員内部における意見の協調・対立関係を把握することができた.