土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境システム研究論文集 第42巻
糞抽出DNA分析による個体識別法の道路環境アセスメントへの適用可能性
園田 陽一中村 匡聡松江 正彦久保 満佐子上野 裕介栗原 正夫
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2014 年 70 巻 6 号 p. II_341-II_350

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抄録

 本研究では道路環境アセスメントにおける事後調査の技術手法として,糞抽出DNA分析を利用した道路横断施設のモニタリング技術の適用可能性と野生哺乳類に対する道路の生態学的影響について検討することを目的とした.文献調査の結果から,糞抽出DNAによる個体識別率の高い種であるニホンノウサギLepus brachyurusを選定し,一般国道289号線甲子道路の福島県南会津郡下郷町において糞の採取を行った.ノウサギの糞からDNAを抽出し,マイクロサテライトマーカー7種によるPCRを行い,フラグメント解析を行った.また,糞から抽出したDNAについて,ZFX/ZFY遺伝子により雌雄判別を行った.糞344サンプルから36個体(オス28,メス8)が確認され,個体数密度は,1.11個体/haであった.また,道路両側において4個体の横断が確認された.本研究の結果から,糞抽出DNAによる野生動物のバリアー効果や道路横断評価へ適用可能性が示された.

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© 2014 公益社団法人 土木学会
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