2014 年 70 巻 6 号 p. II_371-II_380
農畜産系バイオマスのエネルギー利用は,地球温暖化対策の観点から重要である.一方で,現在わが国では農業従事者の高齢化が進行しており,バイオマスの安定生産が見込めないおそれがある.本研究では,農畜産系バイオマス生産量の将来推計モデルを開発するとともに,2010年度から2030年度までの兵庫県のバイオマス生産量を予測した.結果として,2010年度のバイオマス生産量は7,823千tであるのに対し,2030年度では3,786千tと,半分以下に減少することがわかった.次に,雇用増加がバイオマス生産量に及ぼす影響を分析した.その結果,例えば労働年齢(15歳~44歳)の農業従事者数を2015年度から2030年度までそれぞれ20%ずつ増加させた場合,2030年度のバイオマス生産量は約25%改善されることがわかった.