2014 年 70 巻 6 号 p. II_381-II_392
本研究では,和歌山市をケーススタディの対象地として,将来の公共下水道人口と下水汚泥発生量の変化を考慮した下水汚泥焼却設備の更新シナリオを設計した.その上で,汚泥処理の集約化や現有焼却炉代替の高温焼却およびバイオオイル化技術の導入によるエネルギー消費量,GHG排出量の削減効果をシナリオ別に評価した.その結果,1)汚泥処理を集約化して設備利用率を高めることで,環境負荷削減においてスケール効果を得ることができること,2)エネルギー効率に劣る炉を早期に休廃止もしくは低炭素技術に更新するとともに,処理の集約化を図る計画のほうが,単独処理をするよりも環境負荷低減効果が高いこと,3)低炭素技術の選択と汚泥処理の集約化によって,エネルギー消費およびGHG排出量がそれぞれ最大で19.6%,19.2%削減可能となることなどが明らかになった.