抄録
本研究は,日本の水道が抱える種々の課題への対応策として広域的事業統合に着目し,石狩川流域全体(面積約15,000km2,人口約310万人,46市町村,73水道事業)という広大な圏域を対象として,約40年後の平成62年度における給水人口,水需要動向などの将来の予測を行い,更新時のダウンサイジングや施設形態の再構築を考慮したうえで,同流域の事業形態が現状どおり推移した場合と全事業体が統合した場合について,年間支出額や給水原価などを定量化したものである.その結果,流域内の給水原価は一律249円/m3となり,統合しない場合の200~600円/m3と比較して格差を是正できるものの,統合による流域内の年間平均総支出額の削減率は3.3%にとどまる結果となった.しかしながら,大都市の札幌市を除くと削減率は8.8%となり,水道事業の持続確保に大きく寄与することが示された.