抄録
農業,畜産業と都市生活の間での資源循環を目的として,都市下水処理水の循環灌漑による飼料用米栽培の可能性を,水田模型を用いた栽培実験により評価した.その結果,食用米を栽培した先行研究と比べて3倍以上の窒素を下水処理水から除去することができた.循環を行わない系列でも同等の窒素除去が観察されたことから,窒素除去には必ずしも循環灌漑の必要はなかった.循環灌漑の有無に関わらず,除去された窒素の37~39%が水稲に吸収された.一方,循環灌漑により大気に流出する窒素の割合が増加した.飼料用米の収量と玄米タンパク質含有率には循環灌漑の有無で差がなかったが,循環灌漑を行う系列では,穂肥および実肥としての下水処理水を供給することで増収と飼料用米の品質向上が期待される.