抄録
海洋環境中から嫌気性アンモニア酸化(アナモックス)細菌の集積の際に植種源として採取された海洋底泥中には,アナモックスプロセスに必要なアンモニア性窒素および亜硝酸性窒素がわずかに存在するのみであり,海洋性アナモックス細菌は実験室での最適培養条件とは異なる代謝プロセスによって生存のための補助的なエネルギーを獲得していると考えられる.そこで本研究では,海洋性アナモックス細菌が利用する可能性のあるマンガン,鉄,硫酸塩の還元について,海洋性アナモックス細菌が優占しているバイオマスを用いた際に,酸化・還元反応が起こるかどうかを回分試験によって確認した.その結果,海洋性アナモックス細菌“Candidatus Scalindua sp.”のマンガン還元速度,マンガン酸化速度,鉄還元速度,硫酸還元速度はそれぞれ0.16,0.005,0.01,2.05 nmol mg-protein-1min-1であった.また,硫酸還元に対する亜硫酸生成の割合は約60%であり,一部が硫化水素もしくは硫化鉄へ変化していることが推察された.