抄録
浮遊懸濁物質(SS)は,表面に有機態物質や栄養塩類を吸着することから,水域の水質管理を適切に実施する上で,その時空間変化を明らかにすることは重要である.本研究では,諫早湾干拓調整池でのSSの短時間変化を把握することを目的として,まず,24時間連続観測を3回実施した.観測結果によると,SSは表層から中層にかけて鉛直方向にほぼ一様に分布しているが,水面上を吹く風の状態に応じて水中の懸濁量に変化を生じることが示唆された.また,風が静穏状態になる夜間においても比較的高濃度の状態が継続することが示された.つぎに,SSの空間変化を予測するための数値モデルを構築し,現地に適用した.得られた計算結果から,SSの分布は風による流動に影響されており,今回の計算条件下では調整池の南西沿岸で粒子の再懸濁によって濃度が高まること,北部水域の潮受堤付近において懸濁粒子は堆積傾向にあることが示された.