抄録
本研究では,運動場(soil-PG)と住宅地の除染除去土壌(soil-RA)の粒度分布とロードカーブの実態を調べた上で,新しく考案した表面吸着モデルを用いて放射性Csの分布特性の解析を行なった.本モデルによる無次元ロードカーブの領域区分の検討結果に,XRD定性分析とT-C, Fe含有量分析の結果を加味することによって,放射性Csの吸着・保持の形態を考察した.Soil-PGの細粒子分はphlogopiteやvemiculiteを含むため強いCs吸着能を有すること,このため無次元ロードカーブのプロットの多くは本モデル値よりも小さい領域に分布することが判明した.Soil-RAの細粒子分は有機物と酸化水酸化鉄を多く含んでいたが,これらのCs吸着能はそれほど強くないため,無次元ロードカーブのプロットの多くが本モデル値よりも大きい領域もしくは近傍に分布することが推察された.