土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
71 巻, 1 号
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和文論文
  • 菊池 祥一, 加納 陽輔, 秋葉 正一, 佐藤 克己
    2015 年71 巻1 号 p. 1-13
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/20
    ジャーナル フリー
     景観整備に対する社会的要請を背景に,道路舗装分野では軽交通路に適応可能な景観舗装技術の開発が期待されている.なかでも,自然石舗装は自然景勝と調和する主に歩道を対象とした工法であるが,車両の乗入れによって頻繁に補修を要するなど,結果的に景観を害し,不経済となる場合もある.本研究では,経年とともに風合いを増す石構造物の環境・景観的価値を見直し,石板の繰返し利用を前提とした軽交通路用自然石舗装の開発を試みた.この結果,目地部へのアルミナボールの挿入によって石板の沈下や傾斜,移動に対する耐久性が向上し,さらに目地砂として少量のアスファルトを締固めることで雨水等による流失が抑制されることを確認した.また,実施工に先立って,目地材の配合と品質を明らかにし,現場で実施可能な品質管理試験について検討した.
  • 鈴木 亮介, 高部 祐剛, 亀田 一平, 栗田 憲寿, 西村 文武, 水野 忠雄, 伊藤 禎彦
    2015 年71 巻1 号 p. 14-25
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/20
    ジャーナル フリー
     下水処理水の飲用再利用のための土壌浸透処理に着目し,その効率化手法としてのオゾン前処理法の効果および影響について検討した.土壌カラム実験を行い,消毒副生成物生成能,臭素酸イオン,アルデヒド類の除去性への効果を調査した.A2O処理水を対象とし,オゾン処理条件は,初期単位TOC量あたりのオゾン消費量が2mgO3/mgC0以下とした.オゾン処理未導入でクロロホルム生成能は90%以上低減され,塩素系消毒副生成物生成に対して土壌浸透処理は有用であった一方,臭素系消毒副生成物についてはオゾン前処理の導入による生成能低減効果が確認された.オゾン前処理により臭素酸イオンやアルデヒド類が生成するが,前者は主に吸着により,後者は生分解により土壌浸透処理過程で除去されることがわかり,オゾン前処理法の導入影響を定量的に示した.
  • 毛利 光男, 馬場 直紀, 土田 充, 中嶋 卓磨
    2015 年71 巻1 号 p. 26-38
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,運動場(soil-PG)と住宅地の除染除去土壌(soil-RA)の粒度分布とロードカーブの実態を調べた上で,新しく考案した表面吸着モデルを用いて放射性Csの分布特性の解析を行なった.本モデルによる無次元ロードカーブの領域区分の検討結果に,XRD定性分析とT-C, Fe含有量分析の結果を加味することによって,放射性Csの吸着・保持の形態を考察した.Soil-PGの細粒子分はphlogopiteやvemiculiteを含むため強いCs吸着能を有すること,このため無次元ロードカーブのプロットの多くは本モデル値よりも小さい領域に分布することが判明した.Soil-RAの細粒子分は有機物と酸化水酸化鉄を多く含んでいたが,これらのCs吸着能はそれほど強くないため,無次元ロードカーブのプロットの多くが本モデル値よりも大きい領域もしくは近傍に分布することが推察された.
  • 中村 謙吾, 肴倉 宏史, 川辺 能成, 駒井 武
    2015 年71 巻1 号 p. 39-48
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/20
    ジャーナル フリー
     製鋼スラグの利用用途で,腐植物質との混合による磯焼け回復技術が注目されているが,製鋼スラグから溶出する重金属等の環境影響を検討する必要がある.本研究では純水による検討に加えて,海域利用を想定し,実海水を用いて振とう試験および浸漬式のシリアルバッチ試験を実施した.さらに,海域利用において要求される環境安全品質の考え方に基づき,海域利用への適合性について考察を行った.試験結果より,Cd,Pb,Cr,Bは,試験条件を変えた場合に,溶出濃度が港湾用途溶出量基準を超過することは確認されず,製鋼スラグ及び腐植物質の相互作用により,重金属類の溶出濃度は減少傾向を示した.また,本研究で想定した海域利用の環境安全品質を設定し,本試験結果を適用した結果,重金属類による海域汚染の原因となる可能性は低いことが示唆された.
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