2020 年 76 巻 6 号 p. II_47-II_59
本研究では,産業廃棄物焼却施設として採用事例の多い,ロータリーキルン・ストーカ炉における,エネルギー回収技術を導入した際の熱収支モデルの作成とエネルギー回収技術導入時のGHG削減効果を推計した.まず,産業廃棄物処理施設のロータリーキルン・ストーカプラントをモデル施設として多様な産業廃棄物を受け入れるロータリーキルン・ストーカ炉の熱量,排ガス量や,産業廃棄物焼却施設で特徴的な炉に併設される汚泥乾燥機プロセスの有無を考慮した熱収支モデルを構築した.次に,この熱収支モデルをもとに,導入の難易度に応じた複数のエネルギー回収技術を想定した場合のGHG削減効果を定量的に把握した.結果,バイナリー発電の導入においては精密な熱収支モデルの作成が必要であること,廃熱ボイラの更新においては過熱蒸気より飽和蒸気を使用しているボイラを更新するほうが有効であることがわかった.