抄録
本研究ではライフサイクルコストを低減するようDistrict Metered Area (DMA)の構築を支援する手法を提案する.配水管網をグラフネットワークと捉え,密な接続を抽出するグラフクラスタリングおよび遺伝的アルゴリズムを適用してDMAのエリア境界を決定する.さらに,ライフサイクルコスト最小化を目的とし,構築に必要な設備および構築後のポンプ吐出圧を決定する.提案法を仮想管網へ適用してDMAを構築し,設備投資コストのみではなくポンプ運転コストを同時に考慮することで,9%程度のライフサイクルコスト削減の見込みを得た.加えて需要量を変化させたシナリオを用意して感度分析を行い,DMA構築時の水理条件に余裕を持たせることで,需要の変動に対して頑健なDMAが構築できることを確認した.