抄録
本研究では,国内にある33の水道水源ダムを対象として,温暖化や流域環境(集水域人口変化)による将来(今世紀中)における水質への影響を検討した.予測手法は,筆者らによる既往検討成果も活かしつつ,鉛直一次元解析(湖内水温モデルと湖内水質モデル)および流域負荷の統計的モデルの3つを組み合わせたものとして構築した.その結果,ダム湖における植物プランクトンの増殖に関しては,将来の気温上昇よりも,人口減少による流域からの栄養塩負荷減少の影響が大きく,現存量が低下する傾向が高いことが予測された.しかし,現在の流域人口が比較的小さいダムが多い北日本においては,今世期末に温暖化で水質悪化の可能性が示唆される結果も得られた.