抄録
アラル海の縮小に象徴される深刻な渇水問題が発生しているアラル海流域では,水資源量や灌漑水需要量に対する気候変動の影響を事前に定量的に推定することが適正な水利用計画へ向けた科学的根拠として重要である.本研究では,陸域水循環モデルにA1Bシナリオに基づくMRI-AGCM3.2Sの出力値を入力することで,気候変動による水資源量と灌漑水需要量への影響について定量的に推定した.MRI-AGCM3.2Sの結果では,流域全体で降水量の増加と気温上昇が推定されている.陸域水循環モデルで解析した結果,降水量の増加分だけ蒸発散量が増加するため水資源量がほぼ変化しない一方,特に乾燥域において灌漑水需要量が気温上昇に伴って増加するため,当流域における水不足状況がより深刻化する可能性が示された.