抄録
屋久島において、2009年5月8日から10日の高濃度オキシダント観測時に粒子状物質を採取し、長距離越境輸送大気の評価のためにこれらの起源解析を行った。オキシダントの日変動は、明確な日中高濃度、夜間低濃度の変動という一般的なものと汚染気塊の進入時に高濃度になる場合があり、今回の高濃度オキシダントは、大陸で発生したオキシダント生成物質が屋久島に輸送される間に光化学反応で生成したものと考えられた。一方、粒子状物質については、NO3-、nss-SO42-と微量金属間の関係をみるとPM2.5-10では相関は認められなかったが、PM1.0-2.5と1μm>PMの微小粒子では相関が認められた。さらにFeとAlの関係をみるとPM2.5-10では強い相関が認められ、その比も0.6で大陸のダストと一致しており、PM2.5-10の画分は大陸自然起源主体、PM1.0-2.5および1μm>PMの微小粒子は人為由来と示唆された。