抄録
天塩川に接続するサロベツ川・パンケ沼は国内ヤマトシジミ漁場の北限であるが,漁獲量は減少を続け,資源保全が急務となっている.しかし,漁獲減少要因は不明な点が多く,有効な対策を模索中である.
本研究は水理構造を明らかにし,生息環境との関係を検討した.まずサロベツ川の複数点で連続的な流量観測を行い,水収支を検討した.その結果,サロベツ川は流出が卓越して塩水遡上が抑制されることがわかった.またパンケ沼は淡水供給が優先し,夏期以降は塩分の希釈が進行することが分かった.
パンケ沼への塩分供給を考慮すると,サロベツ川の流量が重要である.1980年から河川流量が増加傾向にあり,それにともない漁獲量が減少傾向を示していた.流量増加は雨量強度に依存しており,近30年間の降雨状況の変化が主要因であると推察された.