抄録
長寿社会のまちづくりを進めるにあたり都市の低炭素化の促進に関する法律(エコまち法)の市街地集約の機能として,高齢者向け集合住宅や介護老人福祉施設等を位置づける動きが生まれている.これらの施設は都市内における新たなエネルギー需要であるためスマートなエネルギーマネジメントが求められる.本研究では既に構築した家庭およびその集合体である街区・街区群の電力需要を再現するモデルを基に,家庭の熱需要と福祉施設の電力・熱(エネルギー)需要を再現するモデルを構築した.神戸市東灘区を対象に集合住宅と福祉施設の隣接立地による電力の一括受電,福祉施設にコージェネレーションを導入し,自家消費および集合住宅に電力融通することで,最大電力消費と1次エネルギー消費量を共に15~25%程度削減できる可能性があることを示した.また,2030年に向けて高齢化,世帯分離に伴うエネルギー需要の増大を,集住化の促進により2010年と同程度以下にできることを示した.