抄録
鉱山水中の亜鉛の除去を目的とし,湿地の還元性維持と硫酸還元細菌の活性化を狙い,固形有機物の代わりに液体である乳酸を植栽人工湿地に供給するシステムを開発した.本システムの有効性を評価するため,亜鉛(2.4±0.9mg/l)を含む鉱山水を0.2m3/m2/dayで通水して連続処理する野外実験を行った.湿地内の酸化還元電位(Eh)を指標として乳酸供給のオンオフ制御を手動で行った期間のEhは-22±268mVであったが,自動で行った期間では-165±118mVとなり,自動制御によってより安定した還元状態が維持され,亜鉛除去率も88%から93%に向上した.ろ過層の亜鉛含有量は原水流入口に近い底層で高く,逐次抽出法の交換性分画で亜鉛の多くが除去された.処理水の亜鉛濃度に及ぼす低温,高Eh及び弱酸性pH条件の影響は有意であったが亜鉛除去率の低下は僅かで安定した処理が可能であった.