2016 年 72 巻 5 号 p. I_119-I_126
土木造成工事において,地盤の安定のために未利用資源を使用することがある.九州大学の新キャンパス建設の土地開発地域では,豪雨の影響で斜面の土砂が流出することを防ぐために,竹チップを散布した.しかし,雨が降ったときに竹チップを散布した場所付近の観測井で,茶色に着色した水が流れていることを確認した.そのため,着色の原因の可能性がある竹チップによる地下水の水質に影響を明らかにすることが重要かつ緊急に必要となった.本研究では,観測井における地下水水質の分析を行い,竹チップによって影響を受けた地下水水質の変化を室内実験によって確認した.実験の結果より,着色の原因は竹チップ散布による可能性が高いため,土地開発の表面で竹チップを散布するとき,その地域で地下水水質への影響を注意深く考慮することが必要である.