土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
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地球環境研究論文集 第24巻
東日本大震災による塩性湿地の形成過程に関する研究-気仙沼舞根地区の事例-
橋本 和磨福島 慶太郎横山 勝英
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2016 年 72 巻 5 号 p. I_179-I_186

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抄録

 東日本大震災により創出された湿地の管理方針を検討するため,湿地の形成過程と現在の環境を把握する必要がある.本研究では,気仙沼舞根地区の空中写真から湿地周辺の70年間の変遷を整理し,現地測量と公開データから湿地底面標高の変化を求めた.
 震災湿地は,過去に自然湿地を埋め立てて宅地や耕作地として利用していた場所が,地盤沈下によって海水が浸入し,形成されたことが分かった.震災後,2012~2015年までに湿地底面標高が約180 mm上昇し,その約72 %が地盤隆起,残りが土砂堆積に起因すると推定された.このままの速度で推移すると,湿地は2034年頃に消滅する可能性が示された.湿地水は舞根湾の潮汐の影響を受け,海水と同等の塩分を有するが,日雨量150 mmを超える降水時には,増水した西舞根川の影響で塩分が7倍以上に希釈される特異な環境下にあることが分かった.

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© 2016 公益社団法人 土木学会
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