2016 年 72 巻 5 号 p. I_187-I_194
都市の拡大は気候変動や生物多様性等の環境問題に多大な影響をもたらすと考えられている.本研究では筆者らが開発した都市空間モデルを用い,SRESおよびSSPsシナリオの下での世界3600都市の2100年までの都市化を展望する.その際,特に住宅の生産性と交通コスト変化が都市化に与える影響について感度分析を行う.分析の結果,世界全体の都市面積は2100年には2000年比の3~6倍,中央値は4.4倍と推計されたが,その傾向は地域により大きく異なることが示された.また,シナリオ毎の違いから特に経済成長が都市拡大に大きく影響することを示すとともに,持続発展シナリオの推計結果はストーリーラインと整合せず,政策介入等がシナリオ実現に必要なことを示唆した.また,感度分析により住宅生産性の向上は都市拡大を抑制し,交通コストの低下は都市拡大を促進することを示した.